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スカイの約束

Discussion in 'ヒーローたちの物語' started by FlyingFox, Aug 29, 2015.

  1. FlyingFox
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    FlyingFox Stormguard

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    「今日はここに居てはいけないはずじゃなかったか。」シャッターが引き上げられた格納庫の入り口から、将軍の長い影が伸びた。

    メックのコックピットのフロントアーマーが、被弾の衝撃で吹き飛ばされて黒く焦げて内側に曲がっている。その後ろから、スカイが顔を覗かせた。ドライバーを口にくわえたまま、彼女は焦げたアクチュエーターを地面に放り投げた。「アッパ、来てくれてちょうどよかったわ。使わなくなったエキゾスーツに関する私の計画を聞いて欲しいの」

    「君は母親に約束したはずだ」

    「エンジンに問題はない。悪いのはシールドなの」彼女は残っているフロントアーマーの陰に身を沈め、アーマーに開いた穴の隙間から彼女の姿が少しだけ覗いた。「新しい世代のマシンが登場する度に、アーマーが追加される。すると重量が重くなって、より大きなエンジンが必要になり、より多くのクリスタルパワーが必要になる…」

    「…それによってクリスタル鉱山への依存度が高まることになり、それが新たな戦争を生む」将軍の表情は固いままだったが、彼の目と声は少し優しさを帯びた。「今は議論をしている時じゃない」

    「メックが被弾するのは動きが遅いから」外されたネジが音を立てて地面に落ち、スカイは内側から壊れたアーマーを蹴り始めた。「考え方が間違ってるの。必要なのは…装甲じゃなくて…機動性…」彼女は一言喋るごとにコンバットブーツで蹴りを入れた。フロントアーマーが音を立てて地面に落ち、コックピットにいる彼女の姿が顕わになった。「メックをもっと軽くして、代わりに火力を強化すべき。これには25mmのオートキャノンを取り付けたの。指向性ジェット推進ノズルを背後の固定翼に取り付けているから、ハルシオン弾頭のロケットにも十分な軽さが得られる。確かにリスクはあるけど、でも…」

    「スカイ、彼女が来る」

    「どこに?ここに?」

    「ああ、ここに居たのね。さあ、仕事にかかって」複数の足音が鳴り響き、その後ろから高い声が格納庫の入り口越しに聞こえた。2人の男が等身大の鏡を作業台の側へと運び込んだ。針を口にくわえた仕立て屋とその助手達がマネキンを設置する。マニキュア師とヘアスタイリスト、そしてメークアップロボットが作業台の側に集まって来た。後ろから聞こえる声は、矢継ぎ早に命令を下す。その声の主は、黒い目をして髪を高く巻き上げた、小さな女性だった。「油を付けないように気を付けて。そのシルクはあなた達の1ヶ月分の給料より値が張るのよ」

    「オンマ、ここに何をしに来たの?」スカイは溜め息をつきながらコックピットの中に沈み込んだ。

    「あなたは今夜、"タイル"の中から選ばれるのよ。そこから出なさい」スカイの母親は厳格な休めの姿勢で夫の横に立った。

    「選ばれたくない。戦闘が始まろうとしているのよ」しかし、スカイは諦めてメックから降り、責めるように父を睨みながら側へとやって来た。

    彼は肩をすくめて言った。「戦争はいつだってある。君だっていつまでも兵士でいられる訳じゃない」

    「オッパ、私はパイロットよ。しかも、あなたが指揮する中で最高の…ちょっと!」メークアップロボットが彼女の眉毛にツイーザーを突きつけてきたので、彼女は身をすくめた。彼女の側にスツールを置いて座ったマニキュア師が、彼女の割れた爪と指にできたマメを見て舌打ちした。ヘアスタイリストが丸められていたスカイの髪をほどき、絡まった髪に強引に櫛を通した。

    「アイシャドウは黒くしないで」スカイの母親がメークアップロボットに言った。「目が小さく見えるから。口紅は大き目にね。彼女は唇が少し薄いから」

    頷いたメークアップロボットがパウダーやクリームが詰まった箱の中を探り出すのを見て、スカイは顔をしかめた。「もしあなたの望み通り、今夜、どこかの上流階級のご子息が私を選んだとして、一体何が起きると思う?メークも何もしていない私の顔を見た時、彼はなんて言うと思う?」

    「釣った魚はいつまでもそのままでいることはできないもの」

    「なるほど」スカイは不平がましく言った。「男は魚ってわけね」

    「髪にはゴールドのリングと蘭を付けて」スカイの母親はベルベットで縁取られた飾り箱の中を覗きながら言った。「スカイ、よく聞いて。今夜は男爵の母親が"タイル"を選ぶの」

    スカイの動きが止まった。「彼女は…彼女はきっと私を選ばない。今年の"タイル"には育ちのいい女の子がいっぱいいるの」ヘアスタイリストが彼女の後ろでスツールの上に立ち、スカイの髪を三つ編みにしていくつもの輪にしていった。

    「政治の世界の選択は複雑なの。将軍の娘を選択することには大きな意味がある」母親は答えた。

    「シルク家かタイガー家の年頃の女性から誰かが男爵家に入らなければ、明白な敵対行為と見なされるでしょう」心配するように将軍の表情が少し動いた。

    「戦争をしたいならやってるわ。私の新しいメックなら絶対に勝てる」スカイのフライトジャケットが取り除かれ、ドレスが彼女の身を包んだ。口に針をくわえた仕立て屋が膝をついてかがみ、裾の長さを調整し始めた。

    「真っ直ぐ立ちなさい」母親が言った。「ドレスの裾が短くなりますよ」

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