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スカイの物語2:選択

Discussion in 'ヒーローたちの物語' started by Domofurious, Sep 3, 2015.

  1. Domofurious
    Offline

    Domofurious Vainglory Developer Super Evil Megacorp

    "選択"
    作: SugarVenom

    落ち着かない様子の少女たちが幾重にも集まっている選択のテーブルの上には、名前が刻印された銀のタイルが並べられていた。スカイは体を斜めにしながらその中を通り過ぎていった。部屋の隅では適齢期の青年たちが、"選択"の結果などどこ吹く風でユンノリに興じて歓声をあげていた。少女たちはそれとはうって変わって、自分の名前が彫られたタイルの上に指を滑らせながら、一家の母親たちが息子のために儀式でどの少女を選ぶのかと、しきりに噂話をしていた。スカイは片目を閉じて、タイガー家の気高き第一令嬢である、ナリという可愛らしい少女に狙いを付けた。彼女の細い手首にはベルベットのリーシュが巻かれ、その先には人ごみの中で混乱した様子の爪を落とされた虎が繋がれていた。

    「いいお家に選ばれるといいわね、スカイ」 彼女は言った。「一家の母親に意外な企みでもあれば、こんなうんざりする騒動も終わるだろうけど。」シルバー家の男爵にとって、タイガー家の令嬢こそが政治的に正しい選択だと、世間では広く考えられていた。その年、タイガー家はシルバー家と全面戦争状態にあり、シルバー家のメック騎兵部隊の多くが壊滅させられていた…

    …しかし、スカイの新しいメックがあれば…

    突然、指で背中を突っつかれて、スカイが姿勢を正した。その夜、彼女の母親は一晩中スカイと一緒にいて、棒を手にもって高い声であれこれと指示を出していた。スカイはこれでもかと言わんばかりの作り笑いを顔に浮かべ、問いかけには答えずに、高貴な少女が目を背けるまで、じっとナリの目を睨みつけた。

    「外の空気を吸ってくる」 誰に言うともなくスカイは言った。彼女はオーバーコートの裾の中にそっとハチミツのパン菓子を2つ忍ばせ、暗いバルコニーへと出て行った。シルバー家の屋敷が立つ大きな丘のふもとには集落が広がり、その先には農作地帯とミニオンのキャンプが見えた。そしてその先には、クリスタル鉱山の鈍く青い光が不気味に夜の空を照らしていた。彼女はパン菓子を1つ、丸ごと口の中に入れた。

    「君は油の臭いがするな」

    彼女の後ろに男爵が立っていた。彼の言葉を背中に受けてスカイの動きが止まった。男爵は残ったパン菓子を彼女の手から奪うと、口の中に入れた。彼は銀の刺繍が施された一家のローブを身にまとい、指にはいくつもの銀の指輪が光っていた。彼の出で立ちは彼の持つ富そのものだった。強力なクリスタルを地中から発見したのは彼の祖父の採鉱事業だった。他の一家もまたそれを求め、戦争が起こり、多くの命が失われた。しかしシルバー家はそれを守り続けた。

    「誤解よ」 スカイは体の震えを抑えようと、何かに抵抗するかのように腕組みをして言った。「これは最新の香水なの。今年は女の子はみんなこれをつけてるの」

    「その髪型、凄く好きだよ」

    「これからは毎朝、この髪にするの」

    男爵はバルコニーの手すりに肘をついた。「君と僕が一緒だった子供の頃のことが、つい昨日のように感じる。父たちが地図を眺めて、ジャングルでの戦闘計画を立てている間に、僕らは二人で遊んでいた…」

    「その父の戦いは、すぐにあなたの戦いになる」

    「あんな青く光る石のために多くの命が失われたなんて馬鹿げてる」

    スカイは遠くにある鉱山に目を向けた。「鉱山が枯れてしまったらどうなると思う?」

    「残るのは空っぽのクリスタルの山だけだ。戦争に使う兵器のために、とっくの昔にクリスタルのパワーは使い果たしてしまった。さらに農地を掘り進むことになれば、飢えに苦しむ人が毎年増えていく」

    スカイは彼の目をまともに見れなかった。代わりに彼の手を見ると、その指には戦争で付いた無数の傷があった。「クリスタルを再充填することができる、強力なエナジーの泉の情報を父が集めてるの」 彼女は問いかけたが、男爵は首を横に振った。

    「僕らが使うには泉は遠すぎる。鉱山なんてなくなればいいと思ったこともあった。そうなればメックも戦車もいらない。ミニオンも必要ない。馬鹿げた選択の儀式もね」

    「選択は私たちの手に委ねられてる」 スカイが小さな声で言った。彼女は男爵の手の上に自分の手を重ねた。電気が走ったように感じた。

    「そうだね」男爵は彼女の手の下で自分の手を上に向け、手を開いた。その手の上には輝く銀のタイルがあった。スカイは彼の息にハチミツの甘い匂いを感じた。彼女がタイルの上に指を滑らせると、そこには彼女の名前が深く刻まれていた。「いつか、軍隊は僕の物になる。その時は、君に将軍になってもらいたい」彼は指を曲げてタイルを掴み、強く握った。スカイの体が震えた。「男には、どんな困難があろうとも、自分で選択しなければならない時がある」

    つづく…

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