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「ブラックフェザー物語」愛のキスでは効果なし

Discussion in 'ヒーローたちの物語' started by VideoVillain, Nov 18, 2015.

  1. VideoVillain
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    VideoVillain Undead

    Blackfeather-Lore2_1000px.jpg

    愛のキスでは効果なし

    フィンは、パイプをくわえて静かな池の水面に浮かんだウキを見つめていた。岩に腰をかけ、ウトウトしては釣竿がカギ爪から滑り落ちそうになるたびハッと目を開ける、を繰り返していた。

    彼の隣では、芝生で意識なく横たわる王女をブラックフェザーがやさしく支え、摘んできた野の花を添えていた。「見てみろよ。」ブラックフェザーは彼女の髪を耳にかきあげながら畏敬に満ちた面持ちでつぶやいた。「今まで見たどんな物よりも魅力的だとは思わないか? この髪。真っ白な肌。か細い指先。大事な鏡をつかんだときの様子といったら!そしてこの眉。まるで… まるで何かを伝えたいような…」

    「寝かせてくれ。」フィンが言った。

    「違う、そうじゃない。もっとこう… 彼女の表現には決意がある。『やるべきことをする覚悟はできてる?』 もちろんです、王女様。私めは...」

    「俺を寝かせてくれ、と言ったんだ。」フィンは鋭い牙をむき出しにしてあくびをした。「あんたの王女さらいにつきあって、一晩中眠れなかったんだぜ。」

    「こんな冒険の最中に、居眠りしようっていうのか?」 ブラックフェザーは大げさに王女の傍らでひざまずいた。「このような美女が助けを必要としているときに? 恐れることはありません、王女様。ブラックフェザーがお傍におります。」 そう言うと、彼は唇を王女の唇に軽く重ねた。

    フィンはいびきをかいていた。

    その鼻にはスージーが居心地よさそうにとまり、朝を告げる歌をさえずっている。

    赤ひげの鯉が池から頭を出し、疑るようにウキを見つめた。

    マレン王女は目を覚まさない。

    「おかしいな。」ブラックフェザーが言うと、驚いたフィンが目を覚ました。「キスが効かないなんて。」

    「効かないんじゃなくて、あんたのテクニックの問題じゃないか?」そう言ったフィンと鯉の目が合った。「キスとはアートだ。すべては門歯の中で行われる。」

    「トロルの女性に同情するよ。」

    「一度も苦情を言われたことはないが。」フィンは、もう一度釣り竿を振り、好奇心旺盛な鯉の近くにえさを落とした。「さあこい。おいし~い朝ごはんだぞ。甘いミミズをお食べ。」

    「お前のがさつさの前じゃ、どんなロマンスも台無しだな。しかしこの完璧な瞬間は別だ。」ブラックフェザーは、そう言ってもう一度身をかがめて王女の唇に、今度は少し長めに口づけをした。

    スージーがフィンの耳から出てきたハエを食べた。

    鯉がえさに食いつく。

    フィンが鼻を鳴らして飛び起きすばやく釣り竿を引くと、ひげのある鯉の口元に針が突き刺さった。

    マレン王女は目を覚まさない。

    「なんと不合理な!」 ブラックフェザーは泣き喚き、自身を抱きかかえるようにしながら魚のように口を尖らせた。フィンはリールを引いて鯉をたぐりよせる。「王女に何が起こったのだ。私はこの地で一番のキスの名人なのだぞ。」

    フィンはバタバタと暴れる獲物を高く掲げたが、落胆しきっているブラックフェザーにはそれを称える余裕すらない。「目覚めていないと、それを堪能できないんじゃないのか?」フィンがなだめる。

    「それこそがキスのポイントだろう。」ブラックフェザーが大声で言ったので、スージーが驚いた。「王女を目覚めさせるためなのに。」

    鯉は息絶えた。

    「キスでは王女は目覚めない。誰にそんなナンセンスを聞いたんだ?」 フィンは朝食の頭をかじり取り、むしゃむしゃ食べながら友人を見て首を振った。

    「そうなのか?」

    「もちろんさ。眠っている王女を目覚めさせることができるのは、セラフィムの羽根でそっとくすぐることだけだ。しかも、青い羽根が一番よく効く。」

    スージーがうなずく。

    「そうか… それで納得がいく!」 ブラックフェザーは安堵のため息をついた。「さもなければ、私のキスが効かない理由が見つからない。それはそうと、どこでそのブルーフェザーが見つかるのだ?」

    「わからん。以前に比べてセラフィムも少なくなってしまったからな。しかし、どうしたと言うのだ? 俺たちは王女を誘拐しに行ったのだと思っていたよ。彼女を救うヒーローになるんじゃなくて。」

    「意識不明の王女じゃ、高い身代金も取れまい。」

    「あんた、彼女が好きなんじゃないのか。」

    「彼女が好き? おお、我が愛しのフィンよ。英雄と悪党の間に横たわるクレバスは、広くはないが深いものだ。」

    「それなら、飛び越えるときに落ちてしまわないようにせいぜい気をつけるんだな。」 フィンは残りの鯉を平らげると、いつものように食後の昼寝を始めた。フィンが見ていないことを確かめたブラックフェザーは、マレン王女の手を取り、囁いた。

    「王女様、私こそがあなたを羽根でくすぐり目覚めさせてさしあげます。どんな冒険が待ち受けていようともかまいません。」

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