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ケストレルのテスト

Discussion in 'ヒーローたちの物語' started by VideoVillain, Dec 2, 2015.

  1. VideoVillain
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    VideoVillain Undead

    Vaingloryに登場する次のヒーローは、ケストレルです!彼女の始まりの物語をお読みください…

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    ケストレルのテスト
    「オールド・クォーター」は手つかずのまま放置され、雑草が生い茂っていた。破壊された建物からは、いまだに魔法の臭いがくすぶっている。子供たちが代わる代わるやって来ては、まだくすぶっている建物に触れて、痺れを感じるのを楽しんでいた。その痺れが、ケストレルの持つ最初の記憶だった。

    その時、彼女はまだケストレルではなかった。彼女が両親から授かった名前は機密扱いとなっている。

    彼女は生まれる前に起きた戦争のことも知っていたし、遥か遠く、モン・リールに住むストームクイーンのことも知っていた。国境警備隊には絶対に逆らってはいけないことも知っていた。地元の人間は彼らのことを「ブランコロホス」と呼んでいた。彼女は両親の話す土地の言葉以外にも、巻き舌で喉を鳴らすモン・リールの言葉も学んだ。学校では毎朝、クイーンの旗に向かって敬礼した。すべての子供はクイーンの適性テストを受けさせられた。テスト前になると、教師と親は数週間に渡って子供に数学や国語、地理を叩き込んだ。子供が合格すれば、家族の税金が減免されたからだ。

    6歳の時、ケストレルは最初のテストを受けた。内容は類推と数列、ブロックの対象パターン、パズルの解法だった。彼女の成績は上々だった。彼女は削った鉛筆の匂いが好きで、試験官が身に着けた、素敵な赤い縁取りの白衣が好きだった。彼女は綺麗なパターンにはまってゆく数字を見るのを楽しみ、可愛らしいアクセントでリール語を話した。

    最後のテストで、試験官は白と黒の箱を複数並べ、その1つにキャンディーを隠した。ケストレルに与えられた課題は、白と黒のどちらの箱にキャンディーが入っているかを当てることだった。最初は9つの白い箱と1つの黒い箱が並べられた。彼女は白を選んでキャンディーを獲得した。次は7つの黒い箱と3つの白い箱が並んだ。彼女は黒を選んでキャンディーをもう1つ獲得した。白と黒、それぞれの箱の数が大きく違ったテストを何度か繰り返した後、彼女は口いっぱいにキャンディーを頬張っていた。そして「裏切りの時」はやって来た。白い箱が6つ並んでいたにもかかわらず、キャンディーは4つの黒い箱の内の1つにあった。

    ケストレルはそれまで自分の考えを疑ったことはなかった。

    試験官はもう一度、箱を並べた。今度は白と黒が5つずつだった。

    「選んで」と彼女は言った。

    「イヤ」

    「キャンディーが欲しくないの?」

    「欲しい」

    「だったら、選びなさい」

    「イヤ」

    「どうして?」

    「どこにあるかわからないもん」

    「このテストでは選ぶ必要があります」

    「イヤ」

    試験官は腰を曲げて、小さなケストレルと目線を合わせた。彼女の声は優しかった。「当てられなくっても罰はありません。当てることができれば、あなたはキャンティーが貰えます。選ばなければいけません」

    「イヤ」

    「クイーンが選びなさいと言っています」

    「イヤ」

    「いいでしょう」試験官は背筋を伸ばし、腕の長さほどもある棒を取り出した。「もし選ばなかったら、あなたは手の平を叩かれます」

    彼女の開いた手の平が棒で叩かれる間、ケストレルはじっと前を見つめていた。オールド・クォーターで魔法に振れた時に感じた、飛び上がるような痛みを思い出した。そして、その痛みが時間とともに収まり、痺れへと変わっていったことも。それに比べれば、棒の痛みは大したことはなかった。

    彼女は泣かなかった。そして彼女は選ばなかった。

    次の日、2人のブランコロホスが家にやって来た。ケストレルは裏口から逃げ出し、クルミの木の上に登った。パチンコを持ち、まだ熟れていない実を弾としてたくさん用意した。箱のテストに不合格になったことを父が説教しに来たら、やり返してやるつもりだった。そんな彼女の考えとは裏腹に、両親は涙を流してキスをしながら彼女を木から降ろした。彼女はモン・リールで教育を受けるように招待されたのだ。両親は別れを告げるまでに、1時間の猶予を与えられた。

    つづく…
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